木の優しさ

 学校やマンションの内装を木質化する事例が増えている。その理由はいくつかある。

 まず触感による「むくもり」である。また、ダニの発生も抑制できる。コンクリートにはない「調湿」機能も大切である。木材は湿度が高いときには湿気を吸い湿度が低くなると湿気を吐き出す。コンクリートに比べ結露しにくく、加えて「リラックス」効果もある。

 杉や檜、ヒバ材のチップのニオイを吸引したところ、最高血圧が低下するなど、鎮静作用もわかってきました。さらに「炭素固定」機能も欠かせない。

 天然乾燥の木材は、鋼材と比べ、約350分の1のエネルギーで製造される反面、素貯蔵量でなんと250倍もある。また木材は二酸化炭素を吸収して成長した樹木から作られており、エネルギーとして燃焼させても吸収量以上の二酸化炭素は排出できないという「カーボン・ニュートラル」な特性もあることから、化石燃料に代えて木質バイオマスをエネルギー利用すれば、新たな二酸化炭素排出は抑制できる。

 これらのことから、木材はまさにエコロマテリアルであることがわかります。

森林環境における癒し効果

 素材を提供する機能のうち、最近注目されているのは「癒し効果」です。

 森林内にフィトンチットという物質が発生し、リラックス効果があることは1980年代からしられています。

ドイツでは古くから森林散策と植物療法などを組合わせたクナイブ療法が国民の間に親しまれ、4年に一度、3週間の保養を行うことが法的に定められています。

 日本でも2004年には「森林セラピー研究会」が設立され、ドイツを手本とした取り組みがスタートしました。林野庁の「森林の健康と癒し効果に関する化学的実証調査」によると、健康な男女20人が都市と森林で、それぞれ運動した前後に血液を採取するなどのデータ分析を行ったところ森林で運動する方が

1 リンパ球の一つで血液中を巡回し、ガン細胞やウイルス感 染細胞を排除するというNK細胞の活性度が高まる。

2 ストレスホルモンであるコルチゾールが減少する。

3 リラックス状態になる。

ことがわかった

 長野県信濃町では、独自に「癒しの森」プログラムを開発し、既存の散策路をいくつかのコースに分け、地元観光業関係者を「森林メディカルトレーナー」として認定するなど、森林の空間利用を進める。同町を含め、2005年11月現在、全国26ヶ所が登録済みで、今後は国レベルの医学的な根拠つくりを期待する。

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天然材料と人工材料

 山の絵を描くとき、日本では山に緑を塗る子供が多いのに、外国では土色に塗る子供が多いという。

 考えて見ると日本人は、緑に囲まれて育った民族であった。それは北から南に細長くつながっている国土が豊富な森林に覆われていたためである。

 そうした風土のなかで、私たち祖先はこの世に三霊神がいて、その神が住む土地の山川草木には、霊魂が与えられていると信じていた。このような樹木を信仰の対象にする受け取り方は、木が伐られて材木になった後も引き継がれる。「お礼様」というのはその代表的なもので、あの白木の肌に精霊を感じているのである。

 われわれは機械文明を象徴する自動車の中に、木片のお礼様が祭られている矛盾を笑うが、それはついこの間まで、敷地の中に御神木を祭っていた屋敷林の伝統の縮図だと考えれば納得できることである。

 日本人の心の中では、立ち木と材木とは切れ目なしにつながっているのである。

 私たちは長い間、木綿と木の中で暮らしてきた、だが明治以降それらを捨てて、新しいもの新しいものへと人工材料を追いかけてきた。それは天然材料よりも、人工材料の方が優れていると信じたからであった。

 だが今、明治百余年の体験を経て、鉄は万能ではないし、コンクリートは永久な材料ではないことがようやく分かってきた。それは木を見直そうという動きを生んだのであるが、それよりももっと大きな理由は、鉄やコンクリートには人の心をひきつける何かが欠けていることに気がついたからであった。

 木綿や木に囲まれていると、私たちは何か心の和むを覚える。それはこれらの材料がかつては生き物であつて、その生命のぬくもりが人肌に体温を伝えてくれるからである。

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木のある空間は安らぎの空間

 木材を室内の内装材に使った空間は、室内にいる人に安らぎや落ち着きを与え、精神の安定をもたらす。

 視覚的には木目の優しさや、木のもつ香りや柔らかな室内の空気などは、化学的にも立証されているが、実際にその空間に長時間滞在して初めて体感できることである。

 木を使った住まいで健康・快適・安全な暮らしをするためには、シックハウス症候群やアレルギーを誘発する化学物質が含まれていない国産材、地域材を使うことである。

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木材の乾燥エネルギー

 二酸化炭素、土壌の栄養分、太陽の光、そして水を吸収して育った樹木には、多くの水分が含まれている。このため、伐採したての丸太には多くの水分が含まれている。

 製材や集成材などの木質材料を製造するにあたっては、この原材料の水分を除去し、加工する材料を乾燥する。木材製品の乾燥に要するエネルギー量は、製品の全製造エネルギー量の約1/5から約1/2を占めており、乾燥工程に多くのエネルギーが使われている。

 しかしながら近年では工場廃材などを木炊きボイラーで燃焼した熱が乾燥に利用されており、木材が重要なエネルギー源となっている。

 このように木材には化石燃料の代替エネルギーとしての機能もあり、重要なバイオマスエネルギーの一つである。

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持続可能な資源・持続可能なエネルギー

 木材は数十年から百数十年のオーダーで再生可能な唯一の基幹材料である。

 また、加工に有するエネルギーは他の基幹材料に比べると少ない。さらに、材料そのものがエネルギー源としての機能を持っている。近年、温暖化を防止するために化石燃料の代買エネルギーとしての自然エネルギーの利用が進められている。

 太陽エネルギーを電力に変える太陽電池も持続可能なエネルギーを生産する媒体として多く普及しているが、実は森林は何億年も前から太陽エネルギーなどの自然エネルギーを利用して、持続可能な資源と持続可能な熱源を生産し続けている。

 木材は死に瀕した自然を蘇らせ、我々の子孫に自然と共存する機会を与えられる唯一の基幹材料である。

 木材は地球上にある唯一の持続可能な資源であり、持続可能なエネルギーである。

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木材の耐久性

 木材の生物劣化に対する耐久性は、一般的に耐久成分が多い心材部で高く、糖類やデンプンなど微生物の栄養源となる成分の多い片材部は非常に低い。そのため樹種固有の耐久性は心材の耐朽性(腐り難さ)であり、辺材などの樹種も一様に耐朽性は低いと考える必要がある。

 ヒバや台湾ヒノキの心材部には抗菌物質として知られているヒノキチオールなどのトロボロン類が含まれており、これらの樹種の耐朽性は非常に高い。またヒノキにはテルペン類が多く、クリにはポリフェノールが多いため共に高い心材耐朽性を示し、このような副成分を多く含む樹種は一般的に耐朽性が高いといえる。

 一方、木材のシロアリに対する抵抗性(耐蟻性)は、材の硬さと心材の化学成分が関与している。代表的な耐シロアリ成分には、サボニン類やサイプレスパインに含まれるL-シトロネラ酸、ヒノキのα-カジノールなどがある。

 耐抗性に関しては、木材表面の光劣化によるため樹種による違いは少ない。しかし、風化(目やせ)は密度に反比例するため高密度材や晩材部のほうが風化量は少ない。

 劣化はある条件になった場合に発生するものであり、劣化する条件を避けるあるいは取り除くことによって木材の耐久性は大きく向上する。これは各地に現存する歴史的な木造物が物語っている。

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文化を失いつつある木材の世界

 日本の木造住宅は、かつてはそれぞれの地域に応じた樹種や部材が使われ木材も地域と共に歩んできた。

 しかし近年では阪神大震災の柱材における集成材利用の増大、2000年に施行された住宅品質確保法による部材の性能重視によって、木材は価格と性能のみが市場で競われることになった。そこではかつての文化は失われつつある。

 日本の木材の多くがこのような状況に追い込まれている。そこでは、市場を中心とする経済性の下で、育林、伐出、加工、流通を通した生産性の向上と大量供給体勢の構築に向かわざるをえない。

 そのために、従来の助成制度の発想を転換し、生産性向上にインセンティブを与えることによって生み出される利益を、山元へ還元する方策を確立せざるをえない。その上で、間伐の促進と再造林放棄防止のための公的支援制度を再検討する必要がある。

 また、違法伐採材の輸入防止と、輸送などに伴う二酸化炭素排出の抑制に資する仕組みを確立するなど、環境問題への明確な対応が改めて求められる。

炭素を蓄える木材・木造住宅

 木の大きな体は大量の炭素を蓄えている。

 木が製材品などの木材製品に加工され、それらを住宅の構造材として用いると部材の中の炭素は、住宅が解体・廃棄されるまでそのまま住宅にストックされている。いわば木材は炭素の缶詰といえよう。

 例えば10,5cm角で長さ4mの杉の柱が蓄えている炭素量はおよそ7,5㎏、延床面積136㎡の木造住宅では、木材を約24㎥使用しているから、蓄えている炭素量は約6tにも及ぶ。一方、RC造りのマンション(鉄筋コンクリート住宅)や鉄骨プレハブ住宅は、同じ136㎡の住宅について、それぞれ1,6tと1,5tとなり、木造の1/4になってしまう。この住宅のなかの木材部材にストックされている炭素は、木材が生育時に大気中からCO2として取り込んだものである。鋼材、コンクリートはこの機能を持っていない。計算によれば、わが国における全住宅がストックしている炭素の総量は、日本の森全体がストックしている炭素総量の約18%に相当すると試算される。

 街の中に木造住宅を中心にする第2の森林があると言ってもよいであろう。

健康に優しい木材

 木材を使った住まいは、健康に優しいと言われることが多いが、それは木材は天然素材であり、木の持つ色合い・香り・風合い・感触など人々の暮らしになじみがよく、木の持つ様々な特性と相まって、心地よく快適に暮らせるということが要因となっている。

 健康に優しいということを別の視点で考えると、物理的な優しさと、精神的な優しさをもっている。物理的な優しさには、湿度のコントロールがある。木材の組織内にはたくさんの空洞があり、その空洞に空気中の浮遊している余分な湿気(水分)を取り込み、ほど良い湿気を保っている。

 また、空気中に湿気(水分)が不足してくると、木材の空洞に取り込まれた水分が放出され、空気中の酸素をほど良くコントロールしてくれ、室内を快適空間としてくれる。特に、室内の内装材に天然素材の無垢板を使った時に調湿効果を体験できるのは、梅雨時で、快適に爽やかにすごせるということである。

 次の精神的な優しさとして、杉や檜の板を室内に張ることで、落ち着きや優しさがえられる。木の持つ色合いや香り、質感によるところが大きく、感覚的なものである。

 また、木の持つ快適性はそれぞれ人の感覚によるところが大きいが、一つの事例を示してみたい。床材を決定するために、無垢材とフローリングどちらかにするということで、床に無垢の板(青森ヒバ、杉板)を張ったものと、一般にフローリングといわれている合板の上に薄い板を張りつけ塗装をかけた床材を裸足で歩いて、その違いを体験してもらったとき、無垢の板はフローリングのような冷たさはなく、肌触り・温もりなど無垢の板ならではの質感が感じられ、無垢材が選ばれることが多い。

 「青森ヒバ」は「木曽檜」「秋田杉」とならんで日本の3大美林の一つで、主に青森に生育している。青森ヒバには、ヒノキチオールという成分が含有されているため、抗菌作用があり、ダニやシロアリを寄せ付けないので土台や床材に使用される。

 木材を室内の床・壁・天井などに表して使うときに、一般的には汚れを防ぐために塗装をかけることが多い。しかし、天然素材の木を使って健康な暮らしをしたいというためには、塗装をかけないか、塗装の塗料を天然素材のものを使うことで、化学物質過敏症などアレルギーを遠ざけることができる(日本では古来より柿渋塗りや、拭き漆塗りなどが使われてきた)。

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